事業性評価とロカベン
企業が金融機関から融資を受ける際には、金融機関や保証協会からその審査を受けることになりますが、従来はこの審査が財務状況や担保・保証に偏り過ぎていたため、将来性のある事業なのに過去の財務状況が良くないので融資を受けられないということが起きていたと言われています。
企業側にしてみると、今後の事業拡大のために必要な資金さえ得られれば、過去の不振を取り返すことができるのに、「金融機関は過去の成績ばかりをみて事業そのものを見てくれない」という不満に繋がっていました。
金融庁や中小企業庁では、そのような状況を改善すべく、融資の際には財務状況だけでなく、事業全体を評価して融資可否の判断をすべきとの考えになってきました。
事業性評価とは、財務状況に加え、事業内容やその将来性も適切に評価して金融支援の中身を決めていこうという考え方です。
その際に融資先である企業と融資元である金融機関、それらを側面から支援する機関などが、経営状況を共通の視点で把握し、共有するためのツールとして経済産業省が提供しているのが、ローカルベンチマーク(通称ロカベン)です。
ロカベンでは、財務情報として6つの指標、非財務情報として4つの視点を、決算書と経営者ヒアリングなどを通じて、定型様式に記載して評価をまとめます。
このうち、非財務情報としては
- 経営者について、経営理念やビジョン、経営意欲、後継者に関することなど
- 事業について、企業の沿革、強みや弱み、情報の活用や生産性向上に向けた取り組みなど
- 事業環境について、市場動向や競合の状況、取引先企業の推移、従業員定着状況、金融機関との関係など
- 内部管理体制として、品質・情報管理体制、事業計画とその社内共有、研究開発や知的資産管理、人材育成状況など
を評価することとされています。
ロカベンという共通のツールを使うことで、関係者がその企業の経営状況について、比較的近い認識を持てるようになるというメリットがあるのではないでしょうか。
2018年(平成30年)くらいから、ESG金融という言葉が出てくるようになりました。
これまでのローカルベンチマークの非財務情報に加えて、ESGの視点でも評価しようという動きが出てきていますので、今後注目していく必要があると思います。
ローカルベンチマーク(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/
2016年(H28年)中小企業白書(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H28/h28/html/b2_5_2_3.html