分離ではなく信頼と団結が継続の鍵
『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ氏、 “新型コロナウィルス”についてTIME誌に緊急寄稿!
【リンク先の抜粋】
21世紀に感染症で亡くなる人の割合は、石器時代以降のどの時期と比べても小さい。これは、病原体に対して人間が持っている最善の防衛手段が隔離ではなく情報であるためだ。
近代以前、人類はたいてい病気を、怒れる神や悪意に満ちた魔物や汚い空気のせいにし、細菌やウイルスが存在するなどとは考えもしなかった。したがって、黒死病や天然痘が襲ってきたとき、為政者が思いつくことと言えば、大規模な祈禱の催しを行ない、さまざまな神や聖人に救いを求めることぐらいのものだった。だが、効き目はなかった。
20世紀には、世界中の科学者や医師や看護師が情報を共有し、力を合わせることで、病気の流行の背後にあるメカニズムと、大流行を阻止する手段の両方を首尾良く突き止めた。
中世の人々が、黒死病の原因をついに発見できなかったのに対して、科学者たちはわずか2週間で新型コロナウイルスを見つけ、ゲノムの配列解析を行ない、感染者を確認する、信頼性の高い検査を開発することができた。
国境の恒久的な閉鎖によって自分を守るのは不可能であることを、歴史は示している。
真の安全確保は、信頼のおける科学的情報の共有と、グローバルな団結によって達成されることを、歴史は語っている。
今日、人類が深刻な危機に直面しているのは、新型コロナウイルスのせいばかりではなく、人間どうしの信頼の欠如のせいでもある。感染症を打ち負かすためには、人々は科学の専門家を信頼し、国民は公的機関を信頼し、各国は互いを信頼する必要がある。
今や外国人嫌悪と孤立主義と不信が、ほとんどの国際システムの特徴となっている。信頼とグローバルな団結抜きでは、新型コロナウイルスの大流行は止められないし、将来、この種の大流行に繰り返し見舞われる可能性が高い。
この感染症の大流行が人間の間の不和と不信を募らせるなら、それはこのウイルスにとって最大の勝利となるだろう。
対照的に、もしこの大流行からより緊密な国際協力が生じれば、それは新型コロナウイルスに対する勝利だけではなく、将来現れるあらゆる病原体に対しての勝利ともなることだろう。
【感想】
国内でも、感染多発地域から人が来てほしくないと、公共のトップが発言があったり、感染者の関係者や医療従事者を自分から遠ざけたい意識が表面化したりします。
みんなが家にいることで感染スピードを遅らせることができそうな気はします。でも感染を恐れずに活動再開できるのは、ワクチンや治療法が確立されたのちになると思います。
多様性を持つ人々の社会を維持発展させていくのは、信頼と協調なのでしょう。