ESG融資

 2019年4月4日、環境省から「事例から学ぶESG地域金融のあり方」という資料が公表されました。
https://www.env.go.jp/press/106663.html

 この資料の中では、温室効果ガスの排出量を抑制することを約束したパリ協定や、持続可能な開発目標(SDGs)の締結などの国際状況から、ESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス (Governance))を考慮した資金の流れが世界的にかつ急速に広がっており、日本においても投資や融資の場面で、ESGへの配慮が期待されていることを述べています。

 地方銀行などの地域金融機関が、環境・社会へインパクトをもたらす事業に対し、ESG要素を考慮した事業性評価を行って融資などを実行し、事業者を支えるだけでなく、社会への新たな価値提供や地域の持続可能な成長につなげていくような支援の概要について述べています。

すでに各地域で始まっている、ESG融資の先行事例も多数掲載されています。

  • 水質浄化技術を活用したフグの陸上養殖(滋賀銀行)
  • 地元産にこだわった日本酒(佐賀銀行)
  • オリーブ産業の創生(鹿児島銀行)
  • 衛星・IT技術を活用した農業支援(北洋銀行)
  • しまね森林発電(山陰合同銀行)
  • 秋田市向浜バイオマス発電所(北都銀行)
  • 廃タイヤのリサイクル事業(名古屋銀行)
  • 広島市都市再開発事業(広島銀行)

 8か月ほど遡った2018年7月には、環境省が主催した「ESG金融懇談会」から出された提言書も公開されています。
 https://www.env.go.jp/press/105755.html
 この懇談会には、証券、銀行、生保など金融業界のトップや有識者らで構成され、金融庁や経済産業省、日銀がオブザーバーに名を連ねており、長期的視点からお金の流れを変えて持続可能な社会を築いていこうという関係者の強い意思が表現されています。

 これからの企業と金融機関との関係においては、その事業がESGに関してどのような正のインパクトがあるのかということが、融資実行の際の事業性評価に含まれてくることになるのでしょう。