ドラッカー:ご自分の自己開発についてはいかがですか。
スピッツァーレーマン:私は最高の自己開発は、他人の自己開発に力を貸すことだと思っています。
ド:どういうことが一番効果的だったでしょうか。
ス:私の役割は答えを出してあげることではありません。頭を使うことを助けることです。そして実行の段階にまで持っていくことです。特にビジョンと目標を明らかにさせることです。
実は彼らに励ましと、時間と、道具と、環境を与えることが、そのまま私の自己開発になっています。
もし私が明日辞めてもここは大丈夫です。おそらく大きな変化はないと思います。彼らはやっていけます。
ド:あなたの職場はプレッシャが強く燃え尽き現象の見られる職場です。どうやって活力を得ていますか。
ス:本当の活力は責任を与えられたときに生じます。私の場合は、最初から最後までプロジェクトを任されたときです。
私生活も活力の源になっています。私は料理が好きです。芝居も好きです。音楽も好きです。旅行も好きです。全部活力の源です。
ド:お話しされたことで重要なことをまとめさせてください。「もし私が明日辞めても、大きな変化はない」という言葉が一番大事だと思います。これは組織を預かるものにとって最大の自慢です。それは、私の仕事、私のビジョン、私の組織を引き継ぐチームを作り上げたということです。
上記の会話のように、従業員が仕事をしやすくするために支援するといった責任の大きなことから、新しく職場に加わった新人のOJTを行うといった小さいレベルにいたるまで、他人に何かを教えるということは、自分が成長する大きな機会だと思います。
体系的に何かを教えなくてはならないとき、自分の知識の不足している部分を予め勉強しておき、教えられる人の疑問に答える準備をしておかなければならないという責任が生じます。
この責任が人を成長させるのだと言うのは、上記の会話からもわかります。
「自分がいなくとも組織には影響がない」ということは、自分の居場所がないとか、組織にとって不要な人間だとか感じてしまいそうですが、実は違います。
組織にとって、成果を出すことを変えずに人や仕事を削減する、つまりコストをかけずに成果をあげることができるような人は、どうしても手放したくない人材です。
あの人がいなければこの仕事は成り立たないといった属人的な状況は起こりがちですし、頼りにされる本人も意気に感じて力を発揮する場合もあるでしょう。
しかしそれ以上に、自分がいなくても大丈夫という環境を作ることのほうが、自分も組織ももっと成長できるということです。
2014/2/10