ロバート・バフォード:テキサス州バフォードテレビ会長兼CEO。「リーダーシップ・ネットワーク」および「非営利組織のマネジメントのためのドラッカー財団」設立
ドラッカー:ボブ、ビジネスマンでありながらリーダーシップ・ネットワークを設立されたのが、40代半ばでした。何が一番大変でしたか。
バフォード:積み上げていく世界であるビジネスから、奉仕の世界である非営利組織への意識の転換でした。価値観は変わっていません。変わったのは行動です。
自分にとって大事なものが何かを知ることはきわめて重要です。見直していくことも必要です。私は20代と40代では全く別人です。
ド:そのようにキャリアを変えることは難しくありませんか。
バ:難しくはありません。季節の変化のようなものです。もっと意味ある人生を送りたいと思っただけです。そのためにキャリアを変えなければならなくなったのです。
ド:ある日突然、その時が来たことを悟ったのですか。
バ:一つのゲームを卒業したと思えるだけの得点を得たからだと思います。そこへ、いくつかの出来事が重なって、その時が来たことは自然に明らかになりました。
そこにずっとあった呼びかけに、耳を傾ける用意ができたということではないでしょうか。20年のビジネス経験によって用意ができたということでもあると思います。大義と目的が変わったのです。
ド:スキル中心では方向転換できません。突然行き止まりになってしまいます。あなたが言っておられるのは、外の世界から始めなさいということです。「目的は何か」「何が大事か」からスタートするということです。
第二の人生については、1999年に出版されたドラッカーの著書「明日を支配するもの」にも記述があります。
そちらでは、「歴史上始めて人間のほうが組織よりも長命になった。30歳で就職した組織が60歳になっても存続しているとは言い切れない。そのうえ、ほとんどの人にとって同じ種類の仕事を続けるには40年、50年は長過ぎる。飽きてくる。面白くなくなる。惰性になる。耐えられなくなる。(中略)したがって、第二の人生を設計することが必要となる」と述べています。
転職ほど極端ではなくとも、定期的に別の組織の手伝いをするなど本業とは異なる活動をするなど、長く所属している組織から離れて見ることが、本業にとっても第二の人生を考えるにあたっても良いということなのだと思います。
2014/2/6