自らの成長のために最も優先すべきは卓越性の追求である。そこから充実と自身が生まれる。能力は、仕事の質を変えるだけでなく人間そのものを変えるがゆえに、重大な意味をもつ。能力なくしては、優れた仕事はあり得ず、自信もあり得ず、人としての成長もありえない。
組織に働く者の場合、自らの成長は組織のミッションと関わりがある。仕事のできないことを、設備、資金、人手、時間のせいにしてはならない。それではすべてを世の中のせいにしてしまう。良い仕事ができないのをそれらのせいにすれば、あとは堕落への急坂である。
非営利組織においては、建設的な不満を醸成しなければならない。「どうしてやるべきことをやらないのか」と大声で文句を言いながら帰途につく。それでいながら、なぜ辞めてしまわないのかと聞かれれば、「とても大事な仕事だから」と答える。そのような組織を作り上げる鍵は、全員が目的の達成には自分の存在が不可欠であると実感できるように組織することである。
第5部は「自己開発」と題されており、人が自ら成長していくことに関して述べられています。
非営利組織に限らず、企業や政府組織など組織で働く人、開業医や弁護士など一人で働く人にとっても、有益な記述がたくさんあります。
ドラッカーは、人は仕事を通じて社会と関わりを持ち、責任ある仕事を通じて自分の存在価値を知り、より大きな責任を引き受けることによって自らが成長していくという姿を、あるべき社会として念頭においていると思います。
人それぞれではありますが、人生の目的とは何か、何のために生きるのかと問われたなら、「世のため人のためになるように成長し続けることだ」という答えもその一つではないでしょうか。
2014/1/30