非営利組織のリーダーたる者は、有給無給のスタッフ、理事会、コミュニティ、寄付者、ボランティアに対し、「申し上げたいことがある」ではなく、「お聞きしておくべきことはありますか」と言わなければならない。
この問いが問題を表に出してくれる。面白いことに、それまで大勢の者を悩ませていた問題のほとんどが、表に出たとたんに消える。
An effective non-profit executive starts building this two-way relationship with the staff, with the board, with the community, with donors, with volunteers, and with alumni by asking: “What do you have to tell me?” Not, “This is what I am telling you.”
That question brings problems out in the open. And the funny thing is that most of the problems that bother people so much turn out to be non-problems when you bring them out in the open.
あらゆる関係を双方向のものにしたとき、あらゆる問題が靴の中の小石でしかないことが明らかになる。
The two-way relationship converts a lot of problems into pebbles in the shoe.
訪問看護協会、癌協会、地元の大学、その他諸々の非営利組織がコミュニティのために働いている。重要なことは、自らのコミュニティにおいて自らのミッションを体現する存在であることである。ボランティアが意味をもつもう一つの理由がここにある。
The Visiting Nurses, the Cancer Society, the community college, and any number of other non-profit institutions serve one specific community interest. It requires that the service organization lives its mission. That is why volunteers are so important.
彼らこそコミュニティに生き、かつミッションを体現する存在である。非営利組織は、コミュニティにおいて自らを代表する者として彼らボランティアを訓練しなければならない。
They live in the community and they exemplify the institution’s mission. Effective non-profits train their volunteers to represent them in the community.
元患者や卒業生など、自分たちのいわば身内だった人たちの現況を把握している非営利組織があまりにも少ない。これこそ非営利組織がコミュニティにおける自らの位置づけを容易に改善でき、たいした努力なしに大きな成果を上げることができる分野である。
Far too few service organizations even know who their “alumni”—ex-patients or graduates—are. That, I think, is probably the one area where each non-profit manager can easily improve the institution’s community standing. Results can be achieved with little effort.
2段落目に「あらゆる関係を双方向に」という表現があります。本セクションの前半ではリーダー・CEOと利害関係者とが双方向の関係になること、後半では組織全体とその属する社会との関係を双方向化すべきということを述べています。
どのようなコミュニケーションでも相手が期待していることを理解してその期待に応えられれば、関係は良好になるでしょう。しかしすべての期待に応えることは難しいですし、自分が操り人形になってしまうような感覚も避けたいものです。
本書第2章で「信頼とは、互いが互いについて予見可能であることである。」 と述べているように、予見可能な関係になっていることによって、「聞いておくべきことはあるか」と問うても、無理な要求は出てこないでしょうし、信頼関係を失うこともないということではないでしょうか。
最後の段落は企業でも見習うことができそうです。潜在顧客の動向をつかむというのはなかなか難しいものですが、以前の顧客に接触するのであれば比較的簡単にでき、非顧客が何を考えているのか、ニーズがどのように変化するのかを理解するヒントを得られそうだと思います。
2014/1/19