トップの継承

やり直しのきかない最も難しい人事がトップの継承である。それはギャンブルである。トップとしての仕事ぶりはトップにつけてみないとわからない。トップへの準備はほとんど行いようがない。
The most critical people decision, and the one that is hardest to undo, is the succession to the top. It’s the most difficult because every such decision is really a gamble. The only test of performance in the top position is performance in the top position—and there is very little preparation for it.

しかししてはならないことは簡単である。辞めていく人のコピーを後継にすえてはならない。
What not to do is fairly simple. You don’t want a carbon copy of the outgoing CEO.

また、ボスの意向をくむことには長けているものの、自身で決定したことは何もないという側近も注意したほうがよい。自分で決定する意欲と能力のある人が、補佐役としてそれほど長くとどまることはあまりない。
Be a little leery, too, of the faithful assistant who for eighteen years has been at the boss’s side anticipating his or her every wish, but has never made a decision alone. By and large, people who are willing and able to make decisions don’t stay in that role very long.

さらに、早くから後継者と目されてきた人物も避けるべきである。そういう人は多くの場合、成果が必要とされ、評価され、失敗も犯しうる立場に身を置くことがなかった人である。
Stay away, too, from the anointed crown price. Nine times out of ten that’s a person who has managed to avoid ever being put in a position where performance is essential, measured, and where he or she might make a mistake.


トップの継承がうまくいくかどうかはギャンブルだとは、これまた極端な表現ですが、ではどうすればよいのかについて、少しだけ記述があります。

「まず仕事に焦点を合わせ、これからの数年何が最も大きな仕事になるか、次に候補者がどのような成果を上げてきたかを見て、組織としてのニーズと候補者の実績を合わせることだ」としています。

言われてみれば当たり前のことですが、ナンバーツーからの繰り上げ人事や、同族企業によくある世襲など、そうなっていないことが多いということなのかもしれません。

さて、本章はこのセクションで終わりですが、次のような記述で結ばれています。

「つまるところ、非営利組織の成否を決めるものは、やる気のある人たちをどれだけ惹き付け引き止められるかである。得るべき人材を得ているか、活躍してもらっているか、そのような人材を自ら育てているか。人事に関して考えるべきことはこの三つだけである。」

2014/1/17

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