レオ・バーテル:イリノイ州ロックフォード司教区社会問題担当司教代理
ドラッカー:レオ神父、司祭やシスターの減少にもかかわらず、司教区の活動を大幅に強化しておられますね。どうしてこのような奇跡が起こったのでしょうか。
Am I right, Father Leo, that your diocese has greatly increased the size and scope of its services even though you have far fewer priests and Sisters than you used to have? How did you accomplish this Miracle?
バーテル:ほとんどがボランティアの活躍によります。2000人のボランティアが働いています。ほとんどが女性です。昔のボランティアは言われたことをするだけの助手でした。今のボランティアはパートナーです。ボランティアというより無給のスタッフです。彼女たちの多くがリーダー役を果たしています。
Primarily we are expanding through volunteers doing a larger and larger share of the diocese’s work. We now have at least two thousand volunteers working for the diocese, most of them, of course, women. The volunteers of the past were “helpers.” Our volunteers now are “colleagues.” In fact, they are really “unpaid staff.” A good many of these people are now in leadership positions in the Church and in Church work.
ド:どうやってその変革を実現しましたか。
How did you manage it?
バ:シスターたちだけでは宗教教育に手が回らなくなり、信者の方に手助けを頼んだところ、これがうまくいっただけでなく、彼女たちの信仰や生き方のお役にも立てることがわかったのです。
そこで本格的に宗教教育のプログラムへの参加を呼びかけ勉強してもらうことにしました。2年間にわたるコースです。みなさんがこれを求めていたのです。
The need, I think, shot up first when the Sisters were no longer able to staff the religious education programs for youngsters. And so we began to ask lay people. At first as an expedient. Later on we learned that it is not only a good thing, but in many respects it strengthens and encourages and enriches the lives of the volunteers, of the folks who are coming to help.
So the pastor might invite people to come into the religious education program. The formal training runs over a two-year period. They have a thirst, a yearning for this kind of preparation.
ド:仕事の質のほうはどうやって確保していますか。
How do you maintain quality control?
バ:ミッションを共有することによって確保しています。みなさん献身的です。しかもわれわれは基準を高く設定しています。
私は誰に対しても大きな期待をかけます。多くの場合、人はそれをうれしく、名誉に思います。さらに努力し、有能になるための機会を求めます。
It seems to me, Peter, that the quality control is maintained because of the common vision. These people are truly dedicated. Besides that we hold them to high standards.
And I try, as best I can, to hold high expectations for the people around me. They seem to be honored that I would expect them to do well. And they come back looking for ways to improve, eager for opportunities to become more and more competent.
「最近の若い人は、言われたことだけしかしない。自分のときは不足している情報は自ら集めたし、その背景や影響範囲を考えて仕事をしたもんだ」というのは、今も昔も上司が部下に対してよく抱く不満でしょう。
上記は神父さんとドラッカーとの会話ですが、「昔のボランティア」というのが同じ問題を抱えていたのだと思います。
これを改善していった方法として、①手助けを頼む、②能力を伸ばすプログラムを組む、③期待をかける、というプロセスが紹介されています。
同じことをやれば必ず改善するというわけではないですが、「仕事を命じられる」よりも「助けを求められる」ほうが、仕事をする側の立場ならやる気が高まると思います。
同じセクションで、どんなに頑張っても成果が出ない人への対処についても記述があります。
おそらく本人は自分ができない仕事であることはわかっているので、得意な仕事に替えてやることがリーダーの役割だとしています。仕事を途中で取り上げることになるわけですし、評価が下がったと思わせる事になるだけに勇気がいることです。しかし、多くの場合、そのほうが救いになるということです。
2014/1/20