成果を定義する

非営利組織には成果を重視しない傾向がある。ところが成果は、企業よりも非営利組織において大きな意味をもつ。
Non-profit institutions tend not to give priority to performance and results. Yet performance and results are far more important— and far more difficult to measure and control—in the non-profit institution than in a business.

企業には財務上の収支がある。もちろん企業といえども損益だけでは成果を判断できない。しかし損益は具体的である。
In a business, there is a financial bottom line. Profit and loss are not enough by themselves to judge performance, but at least they are something concrete.

これに対し、非営利組織は直接成果を考えなければならない。そして、それを測定する方法を考えなければならない。いずれにせよ、常に考えるべきは成果である。
When non-profit executives, however, face a risk-taking decision, they must first think through the desired results—before the means of measuring performance and results can be determined.

非営利組織は顧客のニーズに応えているというだけでは不十分である。顧客の欲求を生み出さなければならない。
It is not enough for non-profits to say: We serve a need. The really good ones create a want.


第Ⅲ部は「非営利組織の成果」についての記述です。

本書のまえがきで、「非営利組織は、人を変えたとき役割を果たす。非営利組織が生み出すものは、治癒した患者、学ぶ生徒、自立した成人、すなわち変革された人の人生である。」と述べられており、非営利組織の一般的な成果は定義されています。

これを、個々の組織において「誰を、どんな風に、いつまでに、何人変えること」が成果なのかを具体的に定義することが必要になります。

企業は財務上の収支が長期的にはその属する社会への貢献度を反映するはずなので、客観的に成果を測定する道具となりうるということです。非営利組織においても当然収支を計算して具体的な数値は持っているものの、その数値の多寡で「人を変えたかどうか」は判断できないというのは、感覚的に理解しやすいです。

そうはいっても、組織の成果を定義し、測定したとしても、収支が合わなければ組織の存続そのものが危ぶまれてしまいます。

したがって、「人を変える」という成果と存続のための収支の両方を同時に達成する必要があるということになります。

2013/12/22

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