ここに絶対確実な戦略がある。
うまくいっているときに、組織の方向づけを変え、組織そのものを変えることである。すべてが見事なほどにうまくいっているとき、誰もが「ボートを揺するな。壊れたのでなければいじるな」と言っているときにである。
大事なことは、このようなときに「さあ改善しよう」などと、皆が嫌がるようなことを平然と言う者がいるかいないかである。
One strategy is practically infallible:
Refocus and change the organization when you are successful. When everything is going beautifully. When everybody says, “Don’t rock the boat. If it ain’t broke, don’t fix it.”
At that point, let’s hope, you have some character in the organization who is willing to be unpopular by saying, “Let’s improve it.” If you don’t improve it, you go downhill pretty fast.
改善の戦略において原則とすべきものがこの成功の追求である。うまくいったものをさらに改善することである。変えることである。
The best rule for improvement strategies is to put your efforts into your successes. Improve the areas of success, and change them.
イノベーションを行うには、外を見なければならない。外に変化を見つける癖を付けなければならない。ありがたいことに、内を見るよりも外を見るほうが易しい。しかもそのほうが賢い。
The executives who run innovative organizations must train themselves to look out the window, to look for change. The funny thing is, it’s easier to learn to look out the window than to look inside, and that’s also a smart thing to do systematically.
しかる後に、組織の中を見て、とるべき変化の方向を教えてくれるものを探さなければならない。そしてその最たるものが予期せぬ成功である。
Then you look inside your organization and search for the most important clue pointing the way to change: generally, it will be the unexpected success.
一般的には「うまくいっているときにはいじらない」のがセオリーでしょう。わかりやすいのはチームスポーツです。野球では「勝利の方程式」などと言いますし、サッカーでも良い試合をしたメンバーを固定して使うものです。
しかしドラッカーは、まったく逆に「うまくいっているときこそ改善せよ。」と言います。
プロスポーツとビジネスの違いは「継続」にあるのではないかと思います。プロスポーツの監督や選手にとって最も大事なのはこのシーズンをいかに勝ちきるかであり、シーズン終了後にはいったんすべてがリセットされるという現実があります。
ドラッカーが対象にしているのは、活動の終わりは想定されていない組織、ずっと成果を出し続け継続する組織なので、トヨタのように「改善、改善、また改善」が正しい姿だとしているのでしょう。
イノベーションに関しては、「イノベーションと企業家精神」という著書に詳しいですが、イノベーションの七つの機会として挙げられている中の一番目が、「予期せぬ成功、予期せぬ失敗を利用する」とされています。 予期せぬ成功とは、理由はわからないが想定よりもうまくいった仕事という意味です。
注意を向けていないと予期せぬ成功は偶然の産物として無視されることが多いのですが、実はそこにイノベーションの種があるかもしれないし、見つけられれば最も利用しやすい種であるとしたのです。
2013/12/6