幸か不幸か、いかなる組織にも危機は必ずくる。そのときがリーダーに頼るときである。
Fortunately or unfortunately, the one predictable thing in any organization is the crisis. That always comes. That’s when you do depend on the leader.
リーダーにとって最も重要な仕事は、危機の到来を予期することである。回避するためではなく備えるためである。危機がくるまで待つことは責任の放棄である
The most important task of an organization’s leader is to anticipate crisis. Perhaps not to avert it, but to anticipate it. To wait until the crisis hits is already abdication.
暴風雨を予期し、先手を打たなければならない。それがイノベーションである。
One has to make the organization capable of anticipating the storm, weathering it, and in fact, being ahead of it. That is called innovation, constant renewal.
組織としての勢い、柔軟性、活力、ビジョンを失ってはならない。さもなければ組織は硬直化する。
It has to be able to maintain its momentum, its flexibility, its vitality, and its vision. Otherwise, it becomes frozen.
非営利組織に収支は関係ない、自分たちの行うことは大義のためのものであって、すべて正しいとする。そのため成果は上がらなくとも、資源を他のものに振り向けようと言えなくなってしまう。
Non-profit organizations have no “bottom line.” They are prone to consider everything they do to be righteous and moral and to serve a cause, so they are not willing to say, if it doesn’t produce results then maybe we should direct our resources elsewhere.
したがって非営利組織は、企業よりも意識して体系的な廃棄を行う必要がある。困難な選択を行う必要がある。
Non-profit organizations need the discipline of organized abandonment perhaps even more than a business does. They need to face up to critical choices.
イノベーションを行えるようになるための大前提が、変化は脅威ではないとの認識である。変化は機会である。
The starting point is to recognize that change is not a threat. It’s an opportunity.
第1章で「ミッションそのものは永遠のものであってよい」との記述と、本章の”イノベーション”とは、一見両立しないように感じるかもしれません。
wikiによるとイノベーションとは、「新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。」とされています。
上記で抽出したドラッカーの記述を見比べると、「外界の変化に対応して、内部を変革していくこと」と言い換えられると思います。
ミッションが大義であって、その組織がその大義を果たすために現在の活動をしているという状況が長く続けば続くほど、組織自体は硬直化していきます。成功が続けば自己陶酔の状況になり、外部の変化には気づかず、いつのまにか成果を挙げられない状態になっていきます。
それは、外の世界は常に変化しているからです。変化に対応できない組織は弱体化していきます。
そのため、ミッションそのものは変わらずとも、外界の変化の兆しを常時観察して、それに合わせて行動を変えることが必要です。つまり継続的なイノベーションを行うことによって、その組織が意味のある存在として社会に貢献し続けられるのだということを言っているのだと思います。
2013/11/11