人口構造の変化を先取りする

ドラッカー:あなたが全国協議会の専務理事になられたとき、マイノリティのガールスカウト団員はいたって少なかったのではないですか。
When you took over, the minority membership was small, wasn’t it?

ヘッセルバイン:確かに少なかったですね。しかし人口統計では間もなく人口の3分の1がマイノリティになります。つまり私たちは大きな機会を目の前にしているのです。すでにいろいろな人種や民族の人たちを抱える地域が生まれています。そこで私たちは、この問題についてのイノベーションのための全国センターを作りました。
 そこから、人口変化の激しいカリフォルニア南部の協議会に優秀なスタッフを送り込みました。
It was certainly small. We look at the projections and understand that by the year 2000, one third of this country will be members of minority groups. We have the most remarkable opportunity to serve in new ways. We have to understand what this means to a local Girl Scout Council with many changing ethnic and racial groups within its jurisdiction. To really give leadership to this and to be ready for the year 2000, we developed a national center for innovation.
We have a highly skilled staff moving in first to Southern California, where the change is coming so rapidly.

:カリフォルニア南部には7つの協議会があり、そのうちいくつかではマイノリティの人口が既に30%に達しているんでしたね。ということは、ここでもガールスカウトは機会のターゲットに働きかけているわけです。
Those seven California Councils are already about 30 percent minority populations, right? So that you are actually working on the target of opportunity.

:私たちは、カリフォルニア南部を機会のターゲットに選びました。一番人口変化の激しい地域だからです。したがってここで成功したモデルは、いろいろな人種の人たちを抱える地域で使えるはずです。理論だけではうまくいきません。
We chose California. It is the bellwether state, in our opinion, and these models then can be adapted wherever Councils in this country are faced with the opportunity of serving diverse and rapidly changing populations. Theory is not enough.

:新しいプログラムの導入についてまとめてください。
And what would your general conclusions be about introducing a new program?

:マーケティングのプランをていねいに作ることです。宣伝するだけではだめです。人と接するための方法をすべて探り、実行することです。マーケティングには人が介在しなければなりません。
そして、自分たちの活動を継続して評価していかなければなりません。うまくいっていなければ、態勢を立て直して別の方法で前進していくのです。
You must carefully construct a marketing plan. Not just disseminate information about it, but understand all the ways there are to reach people and use them. Distributing written materials isn’t enough. You need people in the marketing chain.
And there has to be continuing evaluation—getting feedback on how we are doing. And if a strategy is not working, regroup and move ahead in a different way.


ドラッカーは「イノベーションと企業家精神」という著書の中で、イノベーションには七つの機会があるとしており、その中の一つが人口構造の変化です。

人口構造の変化とイノベーションについてドラッカーは、「人口の増減、年齢構成、雇用、教育水準、所得など人口構造の変化ほど明白なものはない。それらの変化がもたらすものは予測が容易である。しかもリードタイムまで明らかである。」として、その変化を自らの組織にとっての機会としてとらえてイノベーションにつなげよとしているのです。

上記の会話では、ガールスカウト協会がマイノリティの増加という人口構造の変化を機会としてとらえて、それをイノベーションにつなげていくために、一部の地域でテストを始めそれを全国に広げていくというストーリが紹介されています。

やはり、マーケット志向で実際に人がその地域に出かけていって、人と接しながらいろいろな方法を実行していくことで、経験を蓄積し、ノウハウに昇華していくということを実践したようです。

さらに、このサイクルを継続して評価することによって、イノベーションが成功する確率を上げていっていたのです。

2013/11/20

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