非営利組織に特有の問題

企業と非営利組織の最大の違いは、人のマネジメントと利害関係者のマネジメントにある。企業においても、人は報酬だけで動機づけされるわけではないことが明らかである。何かほかのものが必要である。ところが非営利組織では、その何かほかのものの果たす役割が企業よりもはるかに大きい。
In no area are the differences greater between businesses and non-profit institutions than in managing people and relationships. Although successful business executives have learned that workers are not entirely motivated by paychecks or promotions—they need more—the need is even greater in non-profit institutions.

非営利組織では、有給のスタッフさえ、世の中への貢献すなわち意義ある仕事による満足を求める。それが得られないとき、彼らは欲求不満となり疎外感を持つ。
Even paid staff in these organizations need achievement, the satisfaction of service, or they become alienated and even hostile.

非営利組織は企業よりも圧倒的に多くの関係者を相手にしなければならない。例えば寄付者との関係は企業には無縁のものである。寄付者が非営利組織に求めるものは、顧客や株主が企業に求めるものとは異なる。
Altogether, the non-profit executive deals with a greater variety of stakeholders and constituencies than the average business executive. The non-profit institution’s relationship with its donors, for instance, is not known to business enterprises. A company’s shareholders and customers have completely different expectations from donors.

非営利組織の理事会の役割も企業の取締役会とは異なる。非営利組織の理事会のほうが活動的で、はるかに大きな貢献を行う。逆にはるかに大きな障害ともなる。特に執行部による指名ではなく、組合員や市民の選挙で選ばれる組織のついてこのことがいえる。
The non-profit board also plays a very different role from the company board. It is more active and, at the same time, more of a resource if managed properly—and more of a problem if not managed properly. The problems can be most pronounced when the board is not selected by the institution itself but is elected—as co-op boards and most school boards are elected—by outside constituencies which may be critics of the institution.


上記では「世の中への貢献=意義ある仕事」が働く人の動機であるとしています。

ドラッカーは著書「現代の経営」で、働く人の動機づけについて一章を割いて説明しています。そこでは、人に最高の仕事をしてもらうために必要だとしたものは「責任」です。仕事に責任をもつということは意義ある仕事になるでしょうから、概ね同じことを述べているといえると思います。

上記の後段では、その組織に資金を共有するという意味で、寄付者と顧客・株主を対比しています。顧客は製品やサービスの対価として支払いをしますし、株主は拠出した資本金の対価として配当を求めます。

しかし、寄付者に対して組織が提供できるものは、その資金が有効に使われ世の中の役に立っているという満足感のようなものです。定量的に測れるものではないだけに、寄付者に満足感を与えられているかどうかを確認できるような仕組みがないと、寄付者が求めているものと組織が提供しているものとが少しずつ乖離し、やがて寄付者は離れていってしまう事になるでしょう。

2014/1/27

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