優れた人事の原則は既に明らかである。問題はそれらの原則を守る者がほとんどいないことにある。人を見分ける力に自身のある人ほど、間違った人事を行う。人を見分けるなどは限りある身の人間に与えられた力ではない。
The rules for making good people decisions are well established, though, alas, very few of us follow them correctly. Any executive who starts out by believing that he or she is a good judge of people is going to end up making the worst decisions. To be a judge of people is not a power given to mere mortals.
自らの知識や眼力に頼ることなく、退屈なプロセスを実直に踏んでいくことを学ばなければならない。
An executive, too, has to learn not to depend on insight and knowledge of people but on a mundane, boring, and conscientious step-by-step process.
第一に、なされるべき仕事からスタートする。
Properly done, the selection process starts with an assignment— not merely with a job description but an assignment.
第二に、候補者を複数用意する。
Next, the executive forces himself or herself to look at more than one person.
第三に、成果の実績を見る。性格を見るのではない。「人とうまくやっていけるか」「イニシアチブをとれるか」などのくだらないことで評価してはならない。
Thirdly, while reviewing candidates, the focus must always be on performance. Don’t start with personality. Don’t start with the usual silly questions such as does he get along with people, or does she have initiative?
第四に、強みを見なければならない。
Then, fourth, look at people’s specific strengths.
ここで誰かを適任と判断したら第五に、その人と働いたことのあるもの2、3人と会う。その人を手放すのは困るといわれたら、その人に決めてよい。戻さないでも良いといわれたら最初からやり直さなければならない。
Once you come to the conclusion, yes, Mary Ann is the right person, go—the final step—to two or three people with whom she has worked. If they all say, My only regret is that Mary Ann no longer works for me, then go ahead and make the job offer. But if they say, I wouldn’t take her back, start thinking again.
そして人事の3か月後に当人に「これから何をやるかを書き出してください」と言う。その人が何を書き出すかによって人事が正しかったかどうかがわかる。
he second stage comes ninety days later, when you call that newly appointed person in and say: Mary Ann, you have now been on this new job ninety days. Think through what you have to do to be successful, and come back and tell me. When she returns with her report, you can finally judge whether you have selected the right person for the assignment.
本章の最初に、「人事は究極にしておそらくは唯一の管理手段である。組織の成果を定めるのは人であり、通常は平均的な人材しかリクルートすることはできないので、既にいる人材からどれだけ引き出すことができるかによって組織の成果が決定する。」という旨の記述があります。
経営環境(外部環境)が常に変化していることを考えると、それに対応するために仕事を変えたり、組織構造を変えたりということが必要になります。
そのとき、誰をどのように配置するかという人事の決定が、その組織が真剣にマネジメントされているかどうかを現すとされています。人事は組織の誰もが見ることのできるものであるがゆえ、どれくらいその仕事に真剣に取り組もうとしているのかが簡単にわかるということです。
上記の人事の原則のうち、第二の原則くらいまではどの組織でもやっているでしょうが、第三の原則あたりからはだんだん難しくなってきます。第五の原則を実直に行うならば、引き抜かれたほうのチームから総すかんを食らうことを覚悟しなければなりませんから、人事を行う人は嫌われることが確実です。
さらに、3か月後に正しくなかったことがわかったら、それを修正することが必要になります。
これほどの原則を守るためには、組織の中には人事の事を常に考えている人が必要だということになると思います。
2014/1/11