成果のあがるところに資源を投入する

あらゆる組織にとって成果こそが判定基準である。
Performance is the ultimate test of any institution.

企業は成果を狭く定義しがちである。その典型が財務上の収支である。もし企業が財務上の収支だけを成果の測定尺度とし活動の目的とするならば、長期にわたって反映することはもちろん、生き残っていくことも覚つかなくなるに違いない。
しかし企業の尺度が、市場シェア、イノベーション、キャッシュフローにしても、数値化は容易で具体的であることは認めざるを得ない。
Businesses usually define performance too narrowly—as the financial bottom line. If that’s all you have as a performance measurement and performance goal in the business, you are not likely to do well or survive very long.
But it’s very specific and concrete. You don’t have to argue about whether we are doing better because results within terms of profitability or market standing or innovation or cash flow are easily quantifiable and very hard to ignore.

非営利組織にはそのような数値はない。そのうえ非営利組織にはもともと成果を軽視する傾向がある。だがそれでは良い仕事はできない。
企業が成果のあり得ないところで資源を浪費すれば、失うのは自社の資金である。ところが非営利組織で失うのは寄付をしてくれた人の金である。
In a non-profit organization, there is no such bottom line. But there is also a temptation to downplay results. That is not enough.
If a business wastes its resources on non-results, by and large it loses its own money. In a non-profit institution, though, it’s somebody else’s money—the donors’ money.

非営利組織にとっては「われわれにとっての成果は何か」という問いに応えることはきわめて難しい。しかし答えなければならない。成果は一種類ではない。直ちに得られる成果もあれば長期的な成果もある。いかなる成果があるかを正確に把握することは難しい。
Nonetheless, non-profit institutions find it very hard to answer the question: What are “results” in our institution? It can be done, however. There are different kinds of results. First, you have immediate results. Then, you have the long-term job of building on those first results. Maybe it’s not easy to define precisely what results you have.

それでもわれわれは「事態は良くなっているか」を問い、人と金という資源は、見返りが大きなところに投入しなければならない。
But it’s got to be done in such a way that one can ask: “Are we getting better? Are we improving?” And: “Do we put our resources where the results are?”


上記で言う「財務上の収支だけを成果の測定尺度とする」というのは、つまり損益計算書に現れる利益を成果とするということで、突き詰めるといかにして顧客から多くお金を引き出し、いかにして支払先や従業員から搾取するかという事になってしまうので、長期的にはそんな企業は生き残ることを社会は許さないとドラッカーは考えているのだと思います。

営利組織と非営利組織の違いを簡単に言うと、活動によって得られた利益を活動資金を提供してくれた人に還元するか否かの違いということになります。

企業の目的は顧客の創造である」というのは、ドラッカーの名言といわれているものの中でも特に有名なものです。

利益が目的なのではなく、顧客にとって価値のあるものを提供し続ける、つまりは社会に価値を提供する、社会の役に立つことが目的でなけれはならないということです。非営利組織が「われわれは大義を奉じている。人の人生をよりよいものにしている」というのと、さほど違いはないと思います。

そして、「人、モノ、カネ」という経営資源を成果の上がるところに投入しなければならない責任は、企業だろうと非営利組織だろうと変わりはない、むしろ、寄付をしてくれた人に金で返すことができない分、「あなたからいただいた寄付はこのように役立ちました」と説明できるようにしておかねばならないということです。

2014/1/8

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