してはならないこと

してはならないことの典型が、ある病院での看護師不足対策だった。中途退職を減らすためにいろいろな方策をとった。しかし辞めていくものは増え、看護師不足はさらに深刻化した。居心地を良くするための方策のことごとくが、やらされていることと、やるべきことのギャップを際立たせた。
One good example of what not to do is the way a large community hospital tackled the nursing shortage. It worked out elaborate policies to make the nurses “feel better.” But the nurses’ turnover only increased, and the shortage of nurses grew worse. All the measures to make the nurses “feel better” only made them more conscious of the gap between what they knew they should be doing and what the hospital allowed them to do. All the measures only made the nurses more dissatisfied.

問題の解決は簡単だった。各フロアに事務員を一人配置することだった。看護師たちは雑務と事務から解放され、患者の世話ができるようになった。士気は高まり辞めるものはいなくなった。人手不足どころか余裕さえ生まれた。
The solution was quite simple: Hire clerks, one for each floor, who do the chores and the paperwork. This freed the nurses for what they knew they should be doing, that is, patient care. Nurses’ morale rose dramatically, turnover all but disappeared, and instead of a nurse shortage, the hospital actually found itself with a surplus.

非営利組織は内部志向になりがちである。あまりに大義にコミットし、正しいことを行っていると信じるがゆえに、組織自体を目的と錯覚する。それでは単なる官僚主義である。
Non-profits are prone to become inward-looking. People are so convinced that they are doing the right thing, and are so committed to their cause, that they see the institution as an end in itself. But that’s a bureaucracy.

「ミッションに貢献するか」を考えずに、「内規に合っているか」を考える。結果、成果は損なわれ、ビジョンも献身も見失われる。
Soon people in the organization no longer ask: Does it service our mission? They ask: Does it fit our rules? And that not only inhibits performance, it destroys vision and dedication.

組織内の争いは、多くの場合、組織構造の改革の必要を現している。あまりに早く成長してしまったことで、構造が不適切になった。誰が何に責任をもつかがわからなくなった。そのための非難の応酬と見るべきである。 組織の構造が活動の実態に合わなくなった。であれば構造のほうを変えなければならない。
When feuding and bickering bespeak occur in the organization, they usually are symptoms of the need to change the organization. It may have grown very fast and in the process outgrown its structure; nobody quite knows what he or she is responsible for. Your organization structure and the reality of your operation aren’t congruent anymore. Then you need a change in your structure.


官僚主義という言葉が出てくるように、内部志向になりがちなのは、行政組織もそうですし、規模の大きな企業も同じだと思います。

数人の組織であれば、どんな仕事を任されていようとも外部との接触無しにはいられませんから、おのずと組織外部からのニーズを肌で感じながら活動を変化させて対応するでしょう。

しかし、組織の活動が拡大し規模が大きくなっていくと、外部との接触のない役割の人が出てきます。その人も最初は外部と接触のある人たちに貢献することが自らの役割と心得ていますが、時間が経ち代替わりが進んでいくと、いつしか役割よりも公平さが大事になっていきます。

そうして、ドラッカーがいう「内規に合っているか」ということを重視する組織になってしまうのです。

第一線で活動する人とルールを守らせる人とが争いを始めたら、それはルールや組織構造を見直すべきというサインかもしれないという視点で考え直すべきときだとしているのです。

2013/12/26

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