長期の目標への合意

非営利組織にとって最も難しい問題が、これらあらゆる種類の関係者から長期の目標について合意を得ることである。長期の目標以外に、すべての関係者の関心を調和させる方法はない。
The first—but also the toughest—task of the non-profit executive is to get all of these constituencies to agree on what the long-term goals of the institution are. Building around the long term is the only way to integrate all these interests.

短期の成果に焦点を合わせるならば、支離滅裂となるだけである。私自身1950年頃、ある学校の役員としてノミのサーカス状態に巻き込まれたことがある。
If you focus on short-term results, they will all jump in different directions. You’ll have a flea circus—as I discovered during my own dismal failure some forty years ago as an executive in an academic institution.

私自身は、物事を長期的に見るほうである。しかし、そのとき私は、短期的な視点からの活動によって関係者を喜ばせ、ひいては影響力を発揮できると考えてしまったのだった。そのとき学んだことは、関係者全員の視点を長期の目標に合わせないかぎり支持も信頼も敬意も得られないということだった。
My own thinking has always been long term. But I thought I’d win friends and influence people by giving them some short-term goodies. What I learned was that unless you integrate the vision of all constituencies into the long-range goal, you will soon lose support, lose credibility, and lose respect.


前のセクションでも述べられているように、非営利組織は企業よりも多くの関係者を持つ傾向にあります。

それぞれの関係者が、その組織と関係を持つ動機や目的が異なっていることが普通なので、一方を立てれば他方が立たずという競合する要求が発生する可能性が高くなります。

同時に満たすことのできないニーズを無理に実現しようとすると、組織は身動きが取れなくなり、関係者は騒ぎ立てるということになりかねません。

これら多様な関係者が合意できるとしたら、その組織のミッションであったり長期目標(将来的なビジョン)しかないと述べているのです。

これを「調和」と言っています。「調和」とは、一致はしていないがだいたい同じ方角を向いている、とか、別の道だが並行に進んでいる、というイメージでとらえれば良いと思います。

言うだけなら簡単ですが、実際には簡単ではありません。ドラッカーも同じセクションで次のように表現しています。

「この関係者全員の関心を組織のミッションに折り込む作業は、建築のプロセスに近い。一度わかればそれほど難しいことではない。しかし大変な作業である。」

2013/12/24

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