ボランティアという基盤

ドラッカー:ところで、ボランティアによる募金活動はこれからも必要でしょうか。コンピュータとテレビで十分という考えもあるようですが。
Do you really need the volunteers, or can you do that today with the computer and TV? I see so much telemarketing in fund-raising efforts by non-profit organizations.

ハフナー:確かにボランティアの代わりに、コンピュータ、ダイレクトメール、テレビというテクノロジーでもかなりの成果が上がっています。
Technology has given us the means to go out and probably do a pretty good job of raising money through the computer, through mail drops or telemarketing that leave out the volunteer.

しかしこれは悲劇的ともいうべき間違いだと思います。なぜなら、そうすることによって支持層というものを失い、ボランティアという大切な基盤を失い、組織を強化し成長させていく道を失うからです。
But that would be a tragic mistake because in the process you’ve also lost the constituency, you’ve lost the volunteer base, you’ve lost the course of strength and growth in the organization.

テクノロジーはボランティアが成果を上げる上での補助的な手段であるべきだと思っています。ボランティアの代わりをすべきものではありません。
I see technology as a way of helping the volunteers do a more effective job; I do not see it as a replacement for a volunteer.

ド:いま強くいわれたことは、資金源開拓とは人間の育成だということです。非営利組織は資金源開拓によって支持層を築いているわけです。
人に満足をもたらしています。
つまり資金源開拓こそが非営利組織の仕事に必要な基盤を築くことになる。
I think the strongest thing you said just now to me is that fund development is people development. You are building a constituency.
You’re building understanding, you’re building support. You’re building satisfaction, human satisfaction in the process.
That is the way to create the support base you need to do your job.

あなたの言われたことが特に地域の小さな非営利組織で実践に移されることを望みます。ニーズは大きいのですが、善意だけでは十分ではないからです。
I hope what you told us will be heard and applied, particularly by the local organization, where the need is so great and where good intentions just aren’t good enough.


250万人という巨大な募金活動を行うボランティアを抱える非営利組織であっても、その資金源開拓にテクノロジーを適用して効率化を追求することはしていないということです。

上記でドラッカーがまとめているように、「資金源開拓は人間の育成である」ので、単なる集金作業ではないと位置づけているからでしょう。

この点については、企業運営と大きく異なるところなのだと思います。企業の行う事業における顧客・仕入先・取引先との関係と、活動資金を供給する株主・金融機関との関係とは別の視点で管理しているのが普通だと思います。

ところが、非営利組織の場合には、活動資金の供給者と活動の主体者、活動の利用者(顧客)が重複するケースも多く、どちらに対しても同じような視点で目配り心配りが必要となります。

その点、非営利組織の運営のほうが企業運営よりも難しいのかもしれませんが、株主を企業に対する応援者と見るならば、株主マネジメントには非営利組織における資金源マネジメントが参考になるのではないでしょうか。

2013/12/18

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