コトラー:シカゴには120の劇団があります。それらの劇団は、それぞれがニッチを追求しています。シェイクスピア専門、ギリシャ劇専門、現代劇専門というように分かれています。
狭い範囲のマーケットを探し、それを満足させるという路線をとっているわけです。
The city of Chicago has over 120 performing art theatrical groups. What some of these theater groups have done is to niche into a certain class of performances. There’s one that does Shakespeare only, another that does the classics in general, another that does only plays written in the last ten years.
The question is, Do you want to satisfy one type of audience deeply or do you want to satisfy a number of audiences more superficially?
ドラッカー:私はいくつかの美術館と関わりを持っていますが、ニッチ戦略をとっているところがうまくいっています。
ニューヨークのメトロポリタン美術館に代表される19世紀型の総合美術館は時代遅れになっていますね。ファンといえる人たちがいなくなっています。
I’ve done a fair amount of work with museums, and the really successful ones are building niches very strongly.
The universal general museums of the nineteenth century, of which the Metropolitan in New York is still the leading American example, are becoming … well, old-fashioned. They have no real clientele.
コ:私もそう思います。これからは19世紀型の組織は苦しいと思います。GMも五つに分割したほうが良いのではないでしょうか。
That does pose a problem for the nineteenth-century-type institutions. Should General Motors split itself into five different companies?
ド:病院でもニッチ化は進んでいます。地域の病院は、ニッチ化したクリニックに患者をとられています。外科の専門クリニックも現れています。
企業と同じように非営利組織の世界でも差別化が必要になっていますね。
I think we see more and more niching, even in hospitals, where the community hospital is in a sense giving way to boutiques; there’s a free-standing surgical unit, and there is a specialty hospital.
I think we need product differentiation in the non-profit institution as much as we need it in business.
このセクションでは、劇団、美術館、病院という上記の例の他に、大学についての会話もあります。
大学も同様に総合大学よりも狭い分野に限定した単科大学のほうがうまくやっているという会話です。
劇団や美術館はあまり素養がなくコメントできないのですが、病院や大学については日本とは少し傾向が異なっているのかもしれないと思います。
大多数の人は病気になったら大きな総合病院に行きたがるし、東京・京都・早・慶・・・という総合大学に行きたがるという傾向が今も続いていると思います。
一部に特化した専門病院や単科大学は量をこなせないという弱みがあるために、総合サービスの巨大組織の力を弱めるところまで届いていないということなのかもしれません。
しかし、規模の小さい大多数の非営利組織にとっては、ニッチに特化することによってその存在意義を社会に認知してもらうという戦略が、活動を継続していく上では必要なことだと思います。
2013/12/11