改善のための戦略では、生産要素ごとの戦略が必要である。
To work systematically on the productivity of an institution, one needs a strategy for each of the factors of production.
第一の生産要素は人である。これはいかに激しく働かせるかということではなく、いかに賢く働かせるかの問題である。同時に、いかに人を配置するかの問題である。
The first factor is always people. It’s not a matter of working harder; we learned that long ago. It’s a matter of working smarter, and above all, of placing people where they can really produce.
第二の生産要素が資金である。同一の資金からいかに多くのものを生み出すかである。
The second universal factor is money. How do we get a little more out of the money that we have? It’s always scarce.
第三の生産要素が時間である。
And the third factor is time.
改善のための戦略では、野心的なくらいの目標が必要である。目標は、ばかげているといわれない程度に、しかし、かなり頑張らなければならない程度に高く設定しなければならない。
One needs productivity goals—and ambitious ones. Not so high that people say this is absolutely absurd, but high enough so that they say: we’ve got to stretch.
このセクションでドラッカーは、アメリカと日本を比較して、「アメリカではうまくいっていることをさらに改善するという戦略を軽視する傾向にある。日本にはイノベーションのための戦略はないが改善のための戦略を持っている」と述べています。
日本にイノベーションの戦略はないと断定されると、日本にだって松下幸之助、本田宗一郎、稲盛和夫ら社会にイノベーションを起こしてきた人たちがいると反発をしたくなりますが、日本が欧米の文化を吸収し日本流に改善して社会に取り込んできた「模倣と改善の文化」という側面も否定できません。
それはさておき、一般的には生産要素(あるいは経営資源)というと「ヒト・モノ・カネ・情報」といわれます。ドラッカーが挙げたものとは違いますが、戦略はそれぞれ生産要素ごとに作るべきものという部分は使えるのではないでしょうか。
たとえば、人事戦略、投資戦略、資金戦略、情報戦略といった具合です。
そして、それぞれの戦略が、共通の「高い」目標に向かうよう整合のとれたものであるように組み立てる必要があるということです。
2013/12/2