1章 マネジメントの役割とは何か
果たすべき3つの役割(23)
企業も公的機関も、社会の機関である。 それらの機関は、それ自身のために存在するのではなく、それぞれの機能を果たすことによって、社会や地域や個人のニーズを満たすために存在する。 組織は目的ではなく手段である。「 その組織は何をすべきか。使命は何か」 である。
「 マネジメントの役割は何か」
- 組織に特有の使命すなわち目的を果たすことである。
- 組織に関わりのある人たちが生産的な仕事を通じて生き生きと働けるようにすることである。
- 自らの組織が社会に及ぼす影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献することである。
組織の使命を果たす(24)
第一に、マネジメントはその組織が使命を果たすために存在する。
企業のマネジメントたるものは、あらゆる意思決定とあらゆる行動において、まず経済的な成果を上げることを考えなければならない。 企業のマネジメントが自らの存在と権限を正当化できるのは、その経済的な成果によってのみである。
消費者が欲する財とサービスを、彼らが進んで払う価格で供給できなければ失敗である。
さらに企業のマネジメントは、自らに託された経営資源の生産力を向上させなければならない。
働く人を生かす(24)
第二に、マネジメントは仕事を生産的なものにし、働く人たちを生かす役割がある。
真の経営資源は1つである。人である。 組織が成果を上げるのは、人的資源の生産性を上げることによってである。 それは仕事を通じてである。 したがって、仕事を生産的なものにすることは、あらゆる組織にとって基本的な機能である。
現代社会においては、組織こそ、人間にとって生計の資を得、社会的な地位を持ち、コミュニティの一員となり、自己実現と生きがいを得るための手段である。 したがって、働く人たちを生かすことは特に重要な意味を持つ。
社会的責任を果たす(25)
第三に、マネジメントには自らの組織が社会に及ぼす影響を処理するとともに、社会の抱える問題の解決に貢献するという役割がある。
企業は、人に仕事を与え、株主に配当を与えるために存在するのではない。社会に財とサービスを供給するために存在する。
その使命を果たすには、個々の人間に対し、地域社会に対し、社会一般に対し、何らかの影響を与えざるをえない。 組織は、そこに働く人たちに対し、権力と権限を行使せざるをえない。 地域社会に対し、仕事と税金の源泉として、また廃棄物や汚染物質の源泉として影響を与えざるをえない。